もう一人の男装の麗人

実家の本棚にあったので読んでみたらハマってしまった作品です。
池田理代子先生の描く男装の麗人といえば「ベルサイユのばら」の主人公オスカルというイメージがあるかと思いますが、実はもう一人男装の麗人が存在します。
父に捨てられた母の、復讐として財産を乗っ取るという目的のため男として育てられたユリウス。
入学した音楽学校に伝わる、ギリシャ神話の登場人物・オルフェウスに因んだ噂を持つ「オルフェウスの窓」と呼ばれる古い窓で出会った奨学生イザーク、上級生クラウス。
この三人がオルフェウスさながらの悲恋と激動の時代に巻き込まれていく壮大な物語です。

オスカルと違い、ユリウスは女である事を隠して生きています。
本当は女としてありのままに生きたいという本心や、声変わりしない事を不審に思われて声を潰そうと水銀の蒸気を吸って倒れるなど、男を演じる壮絶な苦しみが印象的でした。

ベルばらとはまた違った男装の麗人を見たい方、歴史とフィクションが織り混ざった長編がお好きな方におすすめです。

やみさん 35歳 女性

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