子供の思い、母親知らず

押見修造氏の漫画は、「ハピネス」と「悪の華」を読んだことがあって、かなりコアな内容の作家さんだな~と思い、「血の轍」も購入してありましたが、全17巻ということもあり少し間が空いていた。しかし、個人的には最も面白く、優れた映画を観ているように読めました。

不安定な母子関係を、主人公の子(長部静一)の内省を軸に描いている。父親は平凡な人で母親は過保護。何処にでもありそうな家族だが、母親の静子は親の愛を知らず、その分淋しい気持ちを持ちつつ静一に愛を注ぐが…

台詞は少なく、表現力の高い絵でどんどん読ませてくれます。まだ子供で思考のバリエーションの豊富ではない静一の静子に対する印象から、時を経てからまた継続する関係性により、人として成長し、変わっていく母への思いが、静一の心象風景と共に美しく移り変わる様子は、感動的ですらあります。

みーちゃんさん 55歳 男性

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