教会の分裂は、欧州からロシアを引き離した

『サクリファイス』や『ノスタルジア』同様、この『鏡』(1975年ソ連映画)もアンドレイ・タルコフスキー監督の映像美や詩的表現に溢れている。当時のロシア(ソ連)は検閲があったが、商業映画にする必要がなかったためタルコフスキーは自身の芸術表現に徹することが出来た。

『鏡』の中では、詩人の父アルセニー・タルコフスキーの詩を監督自ら朗読している。『鏡』はタルコフスキーの自叙伝であり、父アルセニーと息子アンドレイを同じ俳優が演じるなど、過去と現在が深層的にシンクロし、難解な部分も多い。第二次世界大戦などの記録映像も盛り込まれるが、タルコフスキー独特のテンポと詩的映像美によって目が離せなくなる。
タルコフスキーの映画を観た人は、ストーリーを楽しんだとか他人の人生を垣間見たと感じるよりも、映像による詩的表現と他の監督作品では味わえないタルコフスキーの唯一無二の才能と個性を、別の作品でまた楽しみたいと思うのではないか?

みーちゃんさん 55歳 男性

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次